■ Mugのレビュー 

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Idiot
ZERO
Motor Pool
Amber Arrival
The Yawns
Knave

WHO IS THIS FUCKING REVIEWER? このレビュアーはどこのどいつだ?
 Zero      "かっこいいじゃないですか?うらやましいじゃないですか?”

ロックバンドって一言にいっても色々な形態があると思うんだけど....
自然に楽器持って、自然に演奏していつの間にかバンドが出来てくる、そんなのもあれば、
今はこれでしょということで、特定のジャンルのものを演奏するのもあるし、
特定といえば、HMとかのジャンルにたまに見られるようなこの音楽形態命!といったものもあるし、
まあ、色々あるわけです。

 で、ZEROはどうかというと、そういった形態とはちょっと違ったとこに、彼等の音楽がある様だ。
プレーヤー達が、お互いの感性を認め合って愛し合って、それで音楽を作っている。そんな感じ。
勿論、彼等の楽曲の中には、一見定型的か思わせるバラード系のしっとりとしたものや、激しい曲もあったりするんだけど、どれもZERO節というか、一種独特の世界観に包まれていて、それがZEROをオリジナルなバンドにしている。決して、奇をてらう訳でもなくのに、独自の世界をつくっていく。これこそが彼等の目指す形態なのではないかと私は思う。

 ZEROが直接的に属するジャンルは無い。まあ、しいていえば、グラムロックとかになるのかな?俗にいうVISUAL系とはチョット違うかも。 まあ、ライブ見にいくと、女の子達が一杯いたりするんだけど、キャーキャーというよりも、皆うっとりしながら歌に聞き入ってる。 うん、うらやましい。
何はともあれ、彼等の場合、あくまで、歌があって、それを劇的に演奏する、そこがいいところ。VISUAL系のバンドはともすれば、見せるところに重点が置かれ、メロディやら演奏が冴えないことも多いんだけど、ZEROの場合、逆にそこが強みなわけ。

 ZEROのライブに接すると、メンバー3人のバランスが極めて良いことがわかるはず。 トリオであることでの音数が少なさをうまく使いメロディを浮き上がらせている。各々の役割は極めて明確だ。ギタリスト/ヴォーカリストは実にカッコよい歌を歌い、そしてギターを掻き均す。 この人、デビッドボウイとミックロンソンというか、ボノとエッジというか、そういった、歌とギターの関係を実に良くわかってる。そんな彼をさらにかっこよく、そして音楽的に見せるのがベースの役割。それが旨い。 ZEROにおけるギターとベースのフレージングのバランスも実に的確だと思う。ギターと歌が同人物なことで、出来ない部分も多いはずなのに、このベースそこら辺を旨くカバーするだけでなく、更に楽曲を強化しているところが凄い。 で、ドラマーなんだけど、この人、ヒタスラ劇的に感情を煽る。
敲きながら本人も心の中で歌っているのが良くわかるドラマーで、例えば、クラッシュ引っ叩くとして彼の場合、何小節目とかいった数字的な感覚ではなく、歌がこうきたから、さあ、ここで行けー!と
敲くわけ。 あるべき姿でしょ?
 
 ZERO - このバンド、THINKING MAN's Visual系ロックバンドだ。 メロディを大事に、そしてロックの持つエキサイティングな部分、妖美な部分を演出していく。 カッコイイじゃないですか?うらやましいじゃないですか? 男が美しいことは恥ずかしいことじゃないと感じさせてくれるぞ、このバンド。 唯の女キャーキャー的な美しさじゃないぞ。 男キャーキャーってわけじゃないけどさ、確かに内面からグッとくるぞ....ぞ。 うんうらやましい!



  Motor Pool   ”原節子と小津安二郎監督の清廉な音世界”

 MotorPool....彼等の音楽からは彼等自身の人間性がダイレクトに伝わっってくる。このバンドの人達はいい人に違いない、そんな感じが音からそしてライブ演奏から解ってしまうのである。例えば、80年代ネオアコとかがテーマにしていた、淡くて美しい青春だとか悩ましい人生だとか、そういったものと似た清廉な感じ、うその無い感じ、そういったうその無い感じがMotorPoolからも感じられる。最近のフォークバンドとかからも、身近さとかは伝わってくるんだろうけど、チョット過多な"僕たち頑張ってます"的な媚が見えるでしょ。 なんていうかな..."僕たち君達の身近に入るよ。だから僕たち売れたいでーす"っておでこに書いてある感じ??。わかる?
MotorPoolの場合の、身近さはそういったものとは違った本当の清廉さがあって、そこが実に良い。
 で、まずは彼等の歌の話から....うん、なんていうかな......
癖が妙にあるとか、かわいぶってるとか、そういうのとは全く違う。 ホンマモンの清廉さ。そう、女優でいったら、 原節子。 わかるよね? 
いや、最近の女優は”私女優でございますわ、オホホホ”的な感じがあるじゃないですか? 

ある意味凄く自分達をチープにしてるよね。
 で、原節子。 ああいった、ホンマモンの清廉女優は、違うでしょ。 

 で、Motor Pool。 声が原節子。いや、本人怒りそうだけど、悪い意味では全くなくて、清廉でしょ。
原節子の声、という意味じゃないよ。原節子のような清廉さが、Motor Poolから聞こえる、そういう意味。  しつこい、私? 

だって、ヘンなビブラートとかもないし、ヘンなファルセットもない。 で、ストレートに言葉を伝えて
くるから、ライブを目撃すると、詩とかが、スコーンと抜けてくる。 "遠いから聞こえる"っていう曲が
あって、素晴らしい歌詞だったりするんだけど、ライブで聴くと、ホント遠くからスコーン、スコーンと
くる清廉な声が印象的。その声に”ここで生きていくんだな”なんて言われてみなさいよ....やられるから。。

 で、バンドはどうかというと、これが又、原節子を助長してるんだよね。  

 原節子をココで一旦忘れて、真面目に音楽だけ書くと、Motor Poolは本来ギターバンドであります。 という感じ? 派手な演出とかないバンドなんだけど、あるべきじゃないし、そもそも。
メンバーも皆、そこら辺心得てて、ツボ抑えてる?
実際ギターはホットにプレイされていて、"おお、かっこいいぞ"、と思わしてくれるんだ
けど、ステージ上では決してオーバーアクションとか無いし、突拍子も無いフレーズやらサウンドで脅かすこともしない。彼の見せ所はクールに構成されたギターアレンジであり、楽曲、歌のメロディに対して、 絶対に、歌の邪魔をしないというか、うまく絡んでくる。(この二人、無茶苦茶、仲良いに違いない。) 最初聞いたときは、ネオアコ的なコードワークが印象的で、又、今よりもダークなプレイをする印象が あったんだけど、Motor Poolの曲調が、より"ノル"方向になってきたからか、先日目撃したときは、ジミー ペイジ的な感じがが出てきてたりして、一層"おお、かっこいいぞ"と思ってしまった。
ドラマーが変わって、彼がなかなか適任な感じ。情景を歌い上げる原節子、(あ、また原節子に戻ってしま った....)に旨くスペースを作っているし、一方で、ビート感も増していて気持ちよくのれる。
スコーンスコーンと抜けてくる声を作り上げてるのは、ギターとドラムであって、いうなれば、原節子を演出するオズ監督 という感じ? 

  Motor Pool - 実はMotor Poolライブ目をつぶって観てほしい。 ギターのコードワーク、そしてビートに乗って描かれる情景を体で感じれるから。 白黒のテレビで見るのもよさそう。(原節子?) コッポラ監督のランブルフィッシュって映画があったけど、モノクロームの中にカラーが一箇所、あの感じ ってMotor Poolなんだよね。(勝手極まりない意見!)さて、"東京物語"でも借りに行くか......


 Amber Arrival      ”仄々とした破壊的瞬間もいいものだ”
 
(勝手な思い込みかもしれないけど)AAは、音楽的思考をいつも繰り返しているんじゃない

かな? そういった考える、感じる姿勢を大事に作曲し、そして演奏しているに違いない。
ライブにおいて、彼等の音楽観を目撃し体感するのは実に楽しい。

 直線的な爆発力とか演奏力とかで、有無を言わせない音楽は多々あるけど、Amber Arrivalの
音楽はそれとは違った意味で圧倒される。静と動のつかいわけ、仄々とする瞬間と破壊的な瞬間。
一見矛盾してるようでいて、Amber Arrivalはそれをうまくマッチングしている。よーく考えてる
んだろうな。もしくは持って生まれた才能か?
 
ステージ全体を観わたすと、Amber
Arrivalを超クールにしてる二つの要素に交互に目が行く。
まず要素その1、それはリズムのかっ
こよさ。ギターやベースがある意味フラフラとあちこちを漂ってるぶん、リズムの安定感スピード 感が際立ってる。例えば絵でいうところの額縁がシッカリしてて又カッコイイ感じ。 (余り良い例えじゃないなあ... ま、何はともあれ....だってさ、例えば、カンデンスキイとかの絵が あったとしても合ってる額縁に入ってないとだめじゃん? あれ、これも例えになってない....)
要素その2は、ご想像の通り、まあその中にある絵なわけなんだけど、Amber Arrivalの場合
ステージ上で描くのがフロントの彼女の存在なわけ。 彼女のヴォーカル、そしてギター演奏はある
意味素人っぽく危ういかもしれない。だけど、良く聞いてみれば、その危うさこそが楽曲のテンション
感を更に高めていることが解るし、実際のところ、それらも全て、彼女の音楽的意図のうちなことも
理解できる。知らず知らず僕等は虜にされてるというわけ。 やられました! 

 リズムセクションの見事さと彼女の見事さは、ある意味違っていて、一見違う方向を向いているか
のようだけど、実は見事にマッチしていて、それが又、我々ライブ目撃者の音楽的思考をも、刺激し
てくれるわけ。実際、彼等を見るたびに頭、刺激されて血のめぐりが良くなるというのが我々の中の
共通意見。産業的にエンターテインするわけではないけど、音楽を思考し、体感させることで、皆を
エンターテインする。 彼等が感じていること、考えていること、ライフスタイル、そんなことにも
興味がわく。

 Amber Arrival - なんちゃってハードコア、なんちゃって実験バンドとか、真似演じてるだけの
バンドが多い中Amber Arrivalは本当に破壊的に癒される。 ロックってそうあるべきものでしょ?
体力つけて貰って、10時間位ずっと演奏していて欲しい、そんな バンドです。緊迫していながらも癒されたい。 
そんな感じわかります?

とにもかくにも、Amber Arrival。 独特な危ない和音感が素敵です。 


  

 The Yawns   ”わかるかこら! このツーシームお前に受けれるか?”

 力強く、そして訴えてくる女性ヴォーカル。それに色付けし、更に煽っていく男ども。
いい感じです。先ずイントロの歌でやられて、次にバンド全体のドライブする演奏にやられる。
一粒で、2度はおいしいとはThe Yawnsのこと? 何度観ても、その勢いに圧倒される。

 飾りっけなくありのままの姿を出すこと、そして楽曲やアレンジにおけるストレートな部分が、
ちょっと増えすぎたきらいのある下北辺りのバンドなのかと一瞬思わせる?よーく見るがいい。
同じ"素の感じ”でもThe Yawnsはちょいと違う。隣の兄ちゃん姉ちゃんが"ちょっと"音楽してみ
ました的な身近さは、これっぽちもない。(近寄りがたいっていうってことでもないけどさ)
"ちょっと"というより"ちゃんと"やってる。 同じストレートでもその重さたるや、大リーグ級
だったという感じ。やっかいなことに、唯の真っ直ぐでもないし。あからさまな変化球じゃない
んだけど、ストレートのくせに最後で、チョット変化するっていう、俗にいう、ツーシームボール
ですな。(野球通にしか解らない話になってきた.....)何が言いたかったんだっけ???
そう、うその欠片もない剛速球を投げ込んでくるThe Yawnsのライブ体感するってのは、実に
気持ちいいんです。

 ”いいものはいい、ダメなものはだめ、わかるかこら!”的なパワー。で、実際、こっちとし
ては、”確かにいい。よーく分かります!”って感じで、実に気持ちよく納得するわけで、彼等の
ライブで、”手拍子ヨロシク”とか言われて、普段は絶対にしないATPメンバー達もが、”イエイ”
とか叫びながら、知らず知らず手拍子してしまうという..... で、後で、我々"年ガイもなく..”とか
いいながら、照れあったりするという異常事態をThe Yawnsは知ってか知らずか.....

 話し変わって、The Yawnsっていいバンド名だと思わない? 彼等のライブ
”うちらヨウンズでえ.−す”て感じで始まり、いきなり、ガツンとくるわけなんだけど、
演奏中のテンション高く力強い姿、その一方でのMCにおける妙に身近な感じが実に
いいバランス。人食ったようなバンド名もライブを観れば、圧倒されて妙に納得?。

 The Yawns - ロックの本質的な部分を大事に、それでいて、"今"を"実際"に生きてるっていう
大事なバンドだと思う。こういうバンドが音楽シーンをリードするような時代が早く来るべきだし、
来るんじゃないかな? 来るでしょう。 彼等にオッキイ太陽が当りますように!!
(そしたら我々みたいなアブレ者音楽家達にも西日くらいはあたるか?...なわけなだろって)
何はともあれ、The Yawns! 間違いないから。